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失われた時を求めて
    =THE MANCHURIAN CANDIDATE
VOL.19

 それまでのリアリティを欠くハリウッドの芝居を否定していたJ・フランケンハイマーが、新マッカーシズムへの反撥と共産主義への本質的脅威の中で、ニューフロンティア精神を政策していったJ・F・ケネディと路線を合わせるかの様に撮ったのが、'62年「影なき狙撃者」で、'60年代ハリウッド・ムービーのリーダーだった彼の政治色の濃い作品。
 '52朝鮮、マーコ大尉(F・シナトラ)等の偵察隊は中ソ軍に拉致され、架空の戦闘で武勲をたてたと催眠療法される。指揮をとったレイモンド・ショー(l・ハーベイ)は名誉勲章で祖国に迎えられる。
 中国の博士曰く“我々の洗脳カクテルとは、訓練次第で殺人を犯し、殺した事実も忘れる。記憶が無ければ罪悪感も恐怖感も無い。彼は一見、立派で真面目な国民でいるだろう”と。
 光誘導と薬のブレンド・カクテルだ。彼ことレイモンドは完璧に実行出来るドランカーに造られている。ニューヨークのバー。先に来てビールを飲りながらカード占いするレイモンドが、突如、奇異な行動に移りセントラル・パークの池に飛び込むのを目撃したマーコは、これを機にダイヤのクイーンを象徴する母の政治的暴略、大統領候補の暗殺、終局、話は悲劇に向かって急速度に進む。