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将軍のジェラシー=Cognac

VOL.20

 '42ワルシャワ、'44パリ、20年後のハンブルグと、ナチ将軍の猟奇犯罪を追うスリラー映画「将軍達の夜」('66米)はA・リトヴァクの角度の良い作品。
 ロシア戦線で屠殺者として名を上げたヒトラーの信頼篤いタンツ将軍(P・オトゥール)は楽しんでワルシャワの街を破壊し、パリに赴任する。表は男気ある厳格な軍人。パーティーでも水で通す。ヒトラー暗殺を企てるパリ司令官はタンツを嫌い市内見物を強制する。伍長(T・コートネィ)の案内で車はバンドーム広場、ルイ16世とアントワネットがギロチンに懸ったコンコルド広場と流れ……頬をピクつかせていたタンツは突如、秘密のベールを剥ぎ、持ち込んでいたコニャックをストレートでグイグイ飲り、ヘビースモークし始める。初めて見せる二重人格のオトゥールの変貌とエキセントリックな表情のアップ、更にゴッホが晩年、精神病院で画き上げた自画像を前にして感極まった自我崩壊の姿は鬼気迫る。酒も絵もフランス文化への嫉妬でもある。そして夜、娼婦の陰部を100回刺し殺す性倒錯者振りを現す。
 ナチ情報部の正義の人グラウ中尉(O・シャリフ)は執拗な捜査で遂にタンツを将軍室に追い詰めた時、着々と進行していたヒトラー暗殺成功の暗号“ワルキューレ”が入る。(誤報!)正に世界がひっくり返るかの瞬間、中佐曰く「私には反逆者より犯罪者です」。