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スミノフ&ギネス
       =Sminoff40゜&Guinness

VOL.18

 愛とセックスの捜索者を飲み込んで夜の都会が浮遊する――映画「チューズ・ミー」('84米)は近作「モダーンズ」のA・ルドルフ監督の日本初公開作品。
 ラジオ番組の聡明な愛と性のカウンセラー、アン(G・ビジョルド)は愛に飢えた淋しい女。所有せず、所有されず自由に生きるつもりの酒場の女主人イブ(L・アン・ウォーレン)は実は愛人の束縛から逃れるように男に溺れて悩む番組常習者。二人は素姓も知らず同棲を始める。――今夜も偽りの恋を求めて男女がイブの店に集まる。ギャンブル好きの中年フレンチ、男好きの若い黒人妻、主人と関係したいバーテンダー、そこへフラリと現われるのが、元写真家だが精神病院を抜け出した虚言癖の男ミック(K・キャラダイン)。――「スミノフ・ウォッカにギネス、泡を二インチだ」(目立つ云い方!)次の夜も黙って坐ると、「OK、泡二インチね」と媚びるイブは一目で感じるが、セックスに溺れても愛を恐れるのだ。
 仮構の街がつくる仮構の人間関係、全てが正体不明者であることが剥がされてゆくが…観察の為に同棲する淋しい女アンは、実体の無い男ミックと会った途端のセックスで目覚め、自我の女(男を誘う女)へと変貌し、身を委ねることを拒否する女イブは今やミックの腕の中、男の虚言に翻弄されてラスベガスへ向かうのは、ハネムーンなのかギャンブルか。