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皮を斬らせて肉を斬る
VOL.25
 7月20日雨。
 ソウルの銀座明洞。歓楽街の武橋洞。米軍基地のキッチュな梨泰院はエイズの溜り場、そのまま21世紀に運び込もうとする。
 漢江の南は大企業集中の副都心、ロッテ王国が築く21世紀の蚕室に歓楽の永東。情報源の汝矣島。そして市民の超大な胃袋=南大門市場(一万店!)は朝から晩まで何でも吐き出し続ける。

 ──市場も屋台も素材がまんま生きている。
 ブロイラーや無精卵やアトピー野菜と訳が違う。生産を忘れ、金を横に動かして腹を肥やす知恵を身につけて、幸せの代わりにお釣をもらったわが日本とは訳が違う。
 だが、しかし。

 ソウルを包んで降る雨とまったりと張り付く風を、札で防いで俯瞰するFUCK旅行の命知らず──嘘だと思ってた、最後の夜のバー巡り。
 日本紳士二人がアガシに“IKU IKU”の正しい発音を教育してるではないか、ソウル一のプラザ−のバーだ“Salute! Fucking Stupid Men! That Make Me Mad!”
 いきなりのマティーニが下痢してUNKOになった。

 イノチアズケテイコクノカゼニヒフヲキレ──そうすりゃ肉にありつける。

[アホドリ君]

(1988.8.1記)