top top
top top top










ザ・プレイヤー
THE PLAYER

VOL.79
 “静かに!”カチンコの合図で始まる8分6秒の長廻しで、撮影所内と人物をなめまくる凄いシーンで始まる。
 本人役の出演スター60余名、彼等を下敷きにした秘話を重層し、洒落と皮肉でブチかます反ハリウッドの怪物ロバート・アルトマンの'92年作品。『ショート・カッツ』('93)へと連動するメガトン・パワーの反撃弾だ。
 “5万人の企画の内イエスと答えるのは12回だ”と気取るハリウッドの重役<ヤング・エグゼクティブ>グリフィン(ティム・ロビンス)も、謀略の中で首が危ない。俳優を取りこむディック弁護士邸で、ラム・ローズ(ラムベースカクテル)片手に脅迫の事実を相談すると、そこにイスを睨うラリー(ピーター・ギャラガー)が現れる。アルトマン風悪意!ラリーに「一本でも自分で観たことあるか?」と詰められ、『自転車泥棒』と答えたのも、逆恨みの脚本家を追い詰め殺したパサディナの映画館で偶々かかっていたというだけ。---アルトマンに云わせると、“この街の人間は殆どが恥を持っていない”となる。
 “脚本家(デイヴィッド)の女だった氷の国(アイスランド)の女ジューン(グレダ・スカッキ)に近づいたグリフィンの片手にフィンランでィア(フィンランド・ウォッカ)、片手には「まだ生きてるぜ。ジョー」のFAXが届く。ギリスとは『サンセット大通り』で殺される脚本家(ウイリアム・ホールデン)の名前だ。つまり人違い殺人だった訳だ。虚構に浸るグリフィンにとって殺人も幻想の一つか。映画は、ハリウッドの必須条件、ハッピーエンドで当然終るが、プレイヤー(最高実力者)に成り上がった者の邸宅に咲き誇る花々をどう眺めるか、これはアルトマンの映画についての映画だ。