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レザボア・ドッグス
RESERVOIR DOGS

VOL.69
仕事直前のレストランで、黒タイに黒スーツ男共がマドンナを肴に四文字や巨根の与太話で自己主張するシーンで始まる、洒落てポップでキッチュな映画が、Q・タランティーノ初監督「レザボア・ドッグス」。                                       黒眼鏡で颯爽と現場に向う---クレジットが入り、次シーンがいきなり腹を撃たれて血だらけ逃走する車内のアップで観客を動揺させて、車は倉庫(アジト)へと向う。            倉庫を主舞台とした、ピンタ−の一幕劇「殺し屋(ダム・ウェーター)」のような場面設定、そこに至る紐解きはキューブリックの『現金に体を張れ』のフラッシュバックの手法だ。リーダー格のお人好しのMr・ホワイト(H・カイテル)、男前のオレンジ(T・ロス)、故 J・カザールみたいな小理屈でせこいピンク(S・ブシューミ)、律儀で狂暴なブロンド(M・マドセン)の警官の耳そぎ落とし事件は、当然リンチの『ブルーベルベット』にある。記号ネームで呼ばれるギャング達と云えば、地下鉄ハイジャックの名編J・サージェントの『サブウェイ・パニック』そのまま---フラッシュバックで語られる、ボスのジョ−(老境のギャバン!)に呼ばれた見知らぬ同志6人のダンディな彼らは、宝石強奪の甘い話と共にもったい振って出された旨い(ジューシイ)、あのレミーマルタン(コニャック)で、メルビルのフィルム・ノワ−ルの人物気取りにさせられるが、囮の刑事が一人混じっていた所為で計画は失敗に終り、倉庫の中は、猜疑心と欲望、エゴとサドとホモセクシャルな危険な美学で満たされていく。