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チャイナタウン      =CHINATOWN

VOL.40

 R・ポランスキー監督の映画『チャイナ・タウン』('74)はハード・ボイルドの傑作である。
 '37年、日照りと水不足のロスで、水道施設局長モーリーの謎の溺死体が上がった。彼の調査を依頼されていた私立探偵ギテス(J・ニコルソン)は罠にはまってしまう。釈然としない影の動きに腹立たしさを憶えて乗り出したギテスは、ロス政界の黒幕クロス(J・ヒューストン)が怪しいと睨むが、モーリー夫人(F・ダナウェイ)の実夫と知り……。
 まだ、ギテスとモーリー夫人が探偵と被害者夫人だった時、ホテルのバーで飲るのがトム・コリンズというロング・カクテル。その翌日、モーリー夫人に事件解明の正式依頼を受けたギテスは精力的に動く。水道局、カジキ・クラブ、広大なオレンジ畑、老人ホームが全てクロスの配下にあると知った長い一日の終り、傷ついた兵士二人はデカンター・ボトルのスコッチで疲れを癒し、一線を超える。
 丹花の唇、そして緑の瞳の中に黒い点を生まれつき持った運命の女、モーリー夫人が総ての不幸の始まりだった。クロスを追い詰め全てが暴かれて、皆、背徳の街チャイナタウンに寄せられて行く――
“チャイナタウンの事は忘れたい。皆、思っているさ”