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危険な関係    
=LES LIAISONS DANGEREUSES 1960

VOL.37

 互いの気を引く為に浮気をし、陥落して捨てることが夫婦の信頼を繋ぎ止めると云う、ラクロの背徳の小説『危険な関係』を映画化('59仏)したR・ヴァデム作品は、闇の中からモンクのソロピアノが聞こえ、チェスの盤がアップでタイトルが流れると、いきなりコンボ演奏のアップテンポに入り、同時にカメラも俯瞰でこの悪徳の邸宅に招かれた人達をゆっくりとなめる。盆に乗ったハイボールシャンパンがアップで動き、酒に手が延びるとまるでチェスの駒の様に人間像が現れて噂が語られる。パーティにどんな人種がいて、主人のヴァルモン(G・フィリップ)と妻のジュリエット(J・モロー)が何を企んでいるのか概要が見えてくる。
 スイスのスキーホテル。ジュリエットの策略を実行に移すヴァルモンは、彼女の情夫の婚約者で若いセシルをモノにし人妻マリアンヌを狙う。――大晦日のパーティ、ジャズ・メッセンジャーズが演奏するタイトルテーマは、ウイスキーとワインの酔を倍加させ人を夜陰に堕とす――やがて、殺人、発狂、妊娠、そしてジュリエットは大火傷を負いその焼けただれた顔は“あの女の魂が顔にでてるよ”と人々の誇りを受けることとなる――。人妻に監督夫人E・ヴァデム、工学生に若いJ・L・トランティニャン、情夫役にB・ヴィアンが出演している。