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ラムの大通り=BOULEVARD DU RHUM

VOL.26

 '20年代の禁酒法下、“ラムの大通り”と呼ばれるカリブ海。異才R・アンリコ監督『ラムの大通り』('71仏作品)は、冒頭いきなり警備艇に襲われた密輸船のラム酒が海岸に打ち上げられ、大量打ち砕かれる我ら'74米)は“怒れる若者”カレル・ライスが創った、賭博に憑かれた大学教授アクセル(J・カーン)の孤独な戦いを描くハードな物語。
 母親を騙して金を工面したがその金は即ち次のバクチの資金に化ける。ラスベガスで当りまくり、同時に賭けておいたバスケット試合も経過優勢。サイド・バーで勝利感に酔ったアクセルはウォッカ・ロックスを飲む。――翌朝、試合の惨敗の報せを受ける!――返済の方法を失ったアクセルに組織の魔の手が伸びてくる。遂に教え子を一生組織の飼い殺しにしてしまったアクセルは、あの連中と同じ人格に堕した訳で救いは無い。(血の引いたJ・カーンの演技!)
 あの連中でさえ無事には出て来れない悪人街の一画に足を踏み入れた彼は自らを傷つけたいばかりだ。怪しげなBARのカウンター。「注文は?」「ない」ついで隣の黒人女に向って「彼女だ」「どうするんだ」と更に隣の黒人がつっかかる。「金持ちにする」とアクセル。「どの位だ」と黒人、「50ドル」とアレックスは値段を決めると女と奥に消える…かくして、リトアニアの移民三世の知識人は崩壊する。