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バーフライ=BARFLY
VOL.23
 チャールズ・ブコウスキーというドイツ生まれのアメリカ人作家がいる。どこにも組みしない反骨のボヘミアンで、彼に目を付けたのが製作のコッポラと主演のミッキー・ローク、映画『バー・フライ』('87監督ベルベット・シュローター)だ。
 金と時間を全て酒(スコッチ)に費やし、残り時間にボロアパートで売れない小説を書く男ヘンリー(M・ローク)はブロウスキーの全くの自画像のよう。
 ある日バーで、生きることを諦めた女ワンダ(F・ダナウェイ)と会い、則ち魅きあい同居する。人生を嫌悪する二人だが、“堂々と飲む為”“卑屈にバー通いしない為”に仕事に就こうとし、天使の夢見て立ち直ろうかと振りをするが鋭い感性は労働を拒む。――小説が売れた!出版社の女性プロデューサーが言い寄ってくるが、“金の鳥篭は窒息しそうだ”と逃げ出す。前金500ドルは、バーの親愛なる飲み友達への振舞いスコッチで則ち消えるが、“バー・フライ”と言われない晴れたヘンリーがいた。(明日は勿論、又、“バー・フライ”に戻る訳だが)
 朝から晩迄、スコッチ漬けで、スクリーンから酒が浸み出してくる様な、嘔吐を催す様な光景の連続だが、その精神は気高く、孤高の魂を持った汚れた天使が徘徊している様な光景でもあった。