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咳止め薬(Cough Sour)

VOL.11

 ブロードウェイのヒット戯曲を映画化したジョージ・シートン監督の「喝采」('54米)。
 演出家のバニー(W・ホールデン)はかつてのスター、フランク(B・クロスビー)を主役に当てようとするが、アル中の彼は責任から逃れる為虚勢を張り、その度に嘘をつく自身喪失の弱気者。そんな亭主と良く知りつつ、頼られるまま10年も凄惨な生活を続けている汚れ役の妻(ジョージ)を演っているのは美貌のG・ケリー
 どうにか開いたボストンの初日の夜、過去に逃げたいフランクはその酷評に耐え切れず咳止め薬を隠し飲みするが、二人に見つかってしまう。
 「何だそれは?」
 「咳止め(cough sour)だよ。パインとタールとチェリー。植物標本みたいだ。」
 「だが、アルコール分が22%じゃないか?」
 「アルコールだって?」
ととぼける。
 その後抜け出したバーで悪酔いし、ブタ箱でつぶれるが、二人はそれでも諦めない。最後の最後、やっと絶望から立ち直ったフランクは、自分を救ってくれた二人が愛し合ってるのを察し、ニューヨーク公演の成功を後に一人去ろうとするが、ジョージはバニーの手を離れ、夜の街を追いかける。
 G・ケリーはこの作品で、J・ガーランド(スター誕生)、O・ヘップバーン(麗しのサブリナ)と競い、アカデミー主演女優賞を受賞している。