'45年8月15日、舞鶴軍港の司令官だった伯父は只の抜作になった。故郷広島に残した兄弟親戚を原爆で失ったのと敗戦の故か？　碁と将棋に浮き身をやつしたが、『セント・オブ・ウーマン』のＡ・パチーノの様に厳格さだけは失わなかった。軍人恩給を大層もらったいたからだ。来年は戦後50年ということになる。
　勿論、従軍慰安婦の問題もあるが、日本兵として徴兵され戦後放り出された朝鮮人や中国台湾人の恩給は、片輪でさえ無い。被爆者救済法は今でももめているが、日本兵として徴兵された先の他国人被爆者は、認定もされず手帳も交付されず全くの埒外という、恥知らずの＜不義＞の50年を生きた。今度、広島に原爆投下したB29エノラ・ゲイ号をスミソニアン博物館に設置するに当って、共和党議員から異議が起り、米議会はヒロシマの展示を除くことにしたようだ。核を持つ世界警察国家としては、当然の＜正義＞の実行である。戦後の東西冷戦構造から南北問題(貧富差)へ実行する今日、無敵の＜正義＞の血を流す米国の脇で＜不義＞の子日本は、昨年ウルグアイ・ラウンドで負けた。(お金を捨てて、腐ってる米の在庫が倉庫に100万屯だよ。)その上、＜南＞を根こそぎ開発する米国主導の国連に常任理事国入りを狙うとは狂ってる。銃後ラウンドで戦後50年の落し前を。

（もの食う人々）

（1994.10記）