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避妊を怠りて否認するは非人なり
VOL.89

 正月明けのどの局も、うんざりする温泉&グルメ番組の花盛りで、異変気候の中何処かのんびりできないかとTVのチャンネルを逐々押す。日テレのそれは凄かった。温泉場にラーメンのトレーラー出張させたり、古い河川敷の温泉に女性タレントの為に塀を造ったり、果ては西伊豆で、ある海の幸が食べたいと町内の有線放送でそれを求めたり、タウンジャックの横暴振りにあきれ果てたところで、別の話を思い出す。
 一年半振りに帰国した某夫人の場合、N・Yを発ったJAL機がもうすぐ懐かしの日本に着くという時、某有名タレントがいきなり機内演説を始めた。“私はユニセフで日本や世界に対して多くの貢献をしてきた。今後も云々…”と続き、惑々する思いは即ち不愉快になり、それに向って抗議しなかった自分が情けないと。そんな!JALとタレントが謀ったハイジャックではないか!
 この恐ろしい、事実の無実化を無自覚に行う西伊豆町民や機内旅客の非在性=〈否認の思想〉は、生活をジャックするTV局やJALやタレントという政治権力のこれまた無自覚な顕在性=〈是認の思想〉を支え、「文化共産主義」を形成する。裁判や報道の前では是認の事実は隠され、エコロジィ、アメニティ、ホスピタリティ等という言葉の中に'94年も軽がる。

(パイプカット)

(1993.12記)