新聞の身上相談に曰く。「結婚して２年目。母子家庭で育ちが悪く全く料理ができません。(家庭の味が無くて)夫はけんかして２、３日実家に帰ってしまいます。おかずはコンビニで買うものと、恋愛時代、夫に話したのに？」と。答えの女弁護士は怒りを押えて、「料理学校に通いなさい」と喩し、“男性のハートに至る最短の路は彼の胃袋を通って行くこと”と、西洋の諺を持ち出す。
　そんな時、大阪の回転寿司チェーンが米国から冷凍握り寿司を輸入し、食糧庁と論争になっている。つまり「20％以上の魚肉の調整品」か否かで米の食管法に触れるかどうからしい。握り寿司は米料理なのか？魚料理なのか？ーエニウェイ、カリフォルニア米の12ヶ入りで400円だとさ、新婚２年目さん！
　郵政省が半導体の代りに分子応用の超小型コンピューターを開発し、それが味覚や匂いを識別できると云うが、大体、人間の味覚は五感の内で最も下等で保守的な感覚と云われる位で、性欲と同様で、間脳の視床下部が司どる食欲の本能は、味覚自体のみでなく、形、色、冷温、硬軟と他の優良感覚(視覚、嗅覚、触覚、聴覚)に支えられているということよ、新婚さん！
　こちとら“白河浪漫・ひとめぼれ”ってえ、アイガモ水稲の無農薬有機米を注文済みだ、分けてあげよか？

（胃の上日差）

（1992.9記）