top top
top top top











流れに枕し石に漱ぐ
VOL.73

 今夏もお盆の帰省ラッシュは猛烈を極めたが、帰省先に待つは誰?21世紀を目前にして、高齢化社会は4人に1人が3・5人に1人の割合に高まるという。断絶は進む。
 浜松町から羽田に向ってモノレールに乗ると、一駅目に天王洲アイルという新駅が出来た。これぞベイエリア開発の超目玉。リゾート&オフィスの高層ビル群でなる近未来都市。21世紀に向けて更に施設充実し、新開発地の文化の必需品=劇場も10月オープンを控えている。「レストランやバーは晴海の花火の夜などホテルインの前戯として大いに活用されるらしい」らしい。アメニティとはそういう語意だったのか。では前戯どころか人生の本番も終えた人達は死の猶予装置=老人ホームしかなくて帰省客は天王洲で足留めか、と思っていると、一人暮らしの老人に喜びと楽しみを与える「レンタル家族」がいると云う。注文に応じて寂しい老人に息子や娘、孫家族をレンタルで派遣する新商売である。研修員には抱きつき方、買い物の仕方をセミナーし、料金は夫婦、子供三人セットで15万円也。心のドラマ提供が同社のポリシーだと。冷飯に白湯の様なドラマね21世紀は?
 長岡市の崇徳会という日本初のビーハラ(仏教ホスピス)は心の末期患者は受け入れて呉れないのだろうか?

(坊ちゃん)

(1992.8記)