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ホー、ホー、ホタル来い。
VOL.59

 緑と水の都広島は今、山は丸刈りにされ、地下は東京化し、大金が動いて、人身を狂わせているという。高速道路用の橋桁の巨大コンクリートが何十人を潰しても、'94年アジア大会に向けて、それを乗り越えなければならない。
 「ナガノ!」5月16日未明、'98年の冬季五輪の開催地に決まった瞬間、地元長野のイベント会場では、数千の人間が誰かれかまわず抱き合い涙ぐんだ。東西の壁は既に崩れ、南アが人種登録法を廃止した今、誘致合戦はIOC委員の接待がポイントだった。選挙地バーミンガムに400人の日本人を送り、鐘や太鼓を打ち鳴らし、長野県は15億円かけた。勿論国は施設整備に経費の半分を負担することを即座に決めた。だが新聞は[必ずしも自力による勝利とは言えない」と水を注す。“IOCは'96年五輪を「コカ・コーラ」に売り渡し、アトランタに決めた”という汚点を隠す為、同じ米国のソルトレーク・シティにしなかったのだと。否ナニ、自然保護問題に火が点いて、JOC会長を辞したT氏の「ルート」の財政力がものを言ったのさ。―既に白馬で表土流出が始まっている長野五輪のテーマは「自然との調和」だ。

(天草四郎と島原市民)

(1991.6記)