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ローマは一日にして成らず
VOL.49

 統一ドイツの首都はベルリンで決まりらしい。そのベルリンの壁跡で7月21日コンサートがあった。「ザ・ウォール、ベルリン'90」で、舞台の幅170m 高さ30mのブロッグの<壁>にはこの世の悲惨が大写しされ、クライマックスでは花火と共に壁が一斉に崩れるというスペクタクル・ロックに集まった30万の観客は度肝を抜かれ、私は30万の最後方の一人迄感動を一つにする瞬間にショックを受ける。――その夜の30万の70%が東側の観衆でそのまま西側に消えたという位、移民流入の巨大胃袋と化した西ベルリンと、文化スポーツに磁場を失いマルク格差に窮する東ベルリンの光景は、ニュースで知る程甘くはないが、'20年代のワイマール文化の世界都市ベルリンは、現況の様な政治的両極と経済不安の中、世界の流民とあらゆる文化世界の受け皿であった故に過激な“文化ボルシェビズム”の華が開いた事を思えば、再びベルリンの時代が到来か!? 

 とまれ、権威ある米地理学会は世界地図から東西ドイツの境界線を削除、国名は「ドイツ」、首都は「ベルリン」で既に印刷に出したそうだ。――38度線は如何にと修正液を手にすれば、や?クウェートが消えそうでは・・・?

(対岸の日本地理学会)

(1990.8記)