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天道様と米の飯は何処へでも付いて廻る
VOL.43

 ジョルジュ・ドンが今春、最後のボレロを踊りに東京にやってくる。立つことから始まった西洋バレエは宙に向って跳ぶ。この西洋的動きを要求するモダンバレエと自分の躰のギャップに苦悩した男がいた。昭和61年癌で亡くなった土方巽の回顧展があちこちで行われている。彼の苦悩は、日本農民の末裔としての自己を故郷秋田で発見する。そして、大地を這うようにして踊る彼の立てないことから始まる踊りは<暗黒舞踏>と名付けられる。本当の自分としての日本人性を背負った土方舞踏は、今世界に散らばる。

 実態の暴露された「レコード大賞」ではないが、「イカ天」の企業との癒着ぶりを見ていると、日本の「ロック」もここ迄堕ちたか、という想い。シロウトがノリと音と金だけで<武道館>に出て、その後どうするの?もっと地に足を着けてないと駄目よ。今や世界の音楽界の先端は「ワールド・ミュージック」と称する流行にフィーバーしてるんだから。例えば―欲望と誘惑そしてエロスの極み―「ランバダ」つま先立って踵を上げて、DANCE!――切符を下せえ、何処でもいいから75セント分の切符を一枚下せえ。

(ラングストン・ヒューズ)

(1990.2.1記)