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悪貨は良貨を駆逐する
VOL.15
 芸能誌「平凡」と「週間平凡」が廃刊になる。事実と現象の相姦関係を続けるテレビ界はレポーターを出現させ、彼らの活躍は、万人を芸能ではなくスキャンダルを追求するピーピング・トムに変えた。トムは芸能人との間の地続き感覚を錯覚する。局側も時代現象パッチワークか、「業界もの」ストリップで腰をふりふりトムに近寄る。玄人は素人化し、果しなく一般に近づけようとするメカニズムに組み込まれる。
 お上は神農の民=玄人に米を作るなといい、素人の米を米を逆輸入している。すぐれた米作技術を持つ
玄人は豚や鶏やメロンやキウイの飼い方を習わされる。
 農民は落農化、タレントはマルチになり、アーチストはコングロマーチャントに精出し財形貯蓄。「ライオンの孤独」を想うとすれ、玄人であることのこんなにも難しい時代──“清い水を濁らせるには、ほんの数滴の血で足りる”といいますからね。

[アンクル・トム]

(1987.10.1記)