Liquor in the Cinema Flaneur, Rhum & Pop Culture
top LADY JANE LOGO










グッド・フェローズ=GOOD FLLAS
VOL.39

 “大統領になるよりも、マフィアになることが憧れだった”『ミーン・ストリート』('73)に始まったM・スコセッシ監督とR・デニーロのコンビはこの「グッド・フェローズ」('90)で実に6本目になる。11才で刑務所に入り16才で殺しを受けた伝説のギャング=と云っても、ファミリーの大物ではなく、チンピラ共のボスの存在=ジミー(デ・ニーロ)は、'55、ブルックリンの13才の少年ヘンリー(レイ・リオッタ)には眩いばかりの存在だった。ジミーの手下となったヘンリーは、トニー(ジョー・ペシ)と組んで憧れの世界のビジネスをスタートする。
 '63、空港から掠奪した42万ドルの分け前を頂戴したヘンリーは、ナイトクラブでステージのボビー・ヴィントンからシャンパン(ドン・ペリニヨン)を届けられる程、顔になっていた。21才のチンピラを襲う軽い陶酔感。ボビーと云えば当時、“ヴェルヴェット・ボイス”とあだ名された超花形シンガーだ。魔法鏡のような世界に連れの堅気のお嬢様も訳なく堕ちる。
 実話に基づいているこの映画は「これ迄の神話的マフィアではなく、現実の生活の内側を映画化」(スコセッシ談)としたという通り、一人の少年の夢の世界の実現とその裏切りを、リアルに、滑稽に、生々しく抉って描いている。マフィア(ワイズガイ)達は笑いながら近づいて仲間を殺る(グッド・フェローズ)が、スコセッシとデ・ニーロのダチ公作品(グッド・フェローズ)は、いつも笑っているから気懸りなのだ。