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ベルリン特急
       =BERLIN EXPLESS

VOL.33

 大戦後間もなく、既にドイツは米英仏露に分割統治されていた。映画『ベルリン特急』('48米)はJ・ターナー監督のサスペンス溢れるその時代作品だ。
 パリの秘密会議に国連代表を集めて提唱した、ドイツの四占拠区を統一国家にする機密を抱えて、ベルンハルト博士はベルリン行きの米軍列車に乗り込んだ。同乗者は、秘書のルシアン(M・ナベロン)、米の政府記者(R・ライアン)、元英軍兵士、ソ連占領軍副官、独の地下組織員、ナチスの残党等、入り乱れる攻防の中列車は進むが、博士の替え玉が車内で爆死され全員フランクフルトで足止めされる。――誘拐された博士を探して米記者と秘書は、破壊され尽くした街の一角に秘密めいたキャバレーを見つける。軍政下の経済、ドルもポンドもフランもない。軍札と供給タバコが通貨に替わる。タバコ四本で地ビール二杯だ。〈日本でも、ビールの差異化の趣向は大工場ケミカルビールから手造り地ビールに目を転じつつある。欧州の手造りビールの歴史は古く五千年を数えるという。〉半裸の女占い師を怪しいと睨んだ二人は近くの地下醸造所〈何とも垂涎の酒の宝庫!〉に拉致されていた博士を取り戻すが、再び動くグランド・ホテル=米軍用列車はスリルを乗せて多国分割の象徴の瓦礫都市ベルリンへと速度を上げる。
 オープン・ロケで撮ったベルリン他その廃墟の姿は往時の戦禍をそのまま伝えて生々しい。