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バベットの晩餐会=BABETTE'S FEAST
VOL.21
 '87年アカデミー外国賞を受賞したガブリエル・アクセル監督の『バベットの晩餐会』(デンマーク)は、後半、唖然とさせつつもその説得力に敬服する。
 1871年、デンマークの寒村にフランスからバベットが亡命して来て、ルター派の父に育てられた老婦人姉妹の家に召使いとして住みつく。14年が過ぎ、牧師の生誕百年を祝う日がやってきた。懸賞金一万フランを当てたバベットは、お祝いにフランス料理を自分に作らせてくれという。――昔、美しかった姉妹はそれぞれ、スウェーデンの若い士官とフランスの有名なオペラ歌手に思いを寄せられたが、宣教への献身からその愛を受け入れることが出来なかった。オペラ歌手はバベットを遣わし、今は将軍となった士官は感謝を込めて晩餐会にやってくる。
 年老いて口論にくれる村人も、海ガメやウズラが海を越えて運ばれるのを不吉な思いで見ていた村人も、その日の将軍の感激振りに次第に心なごむ。まず海ガメのスープにアモンティラード(白ワイン)、次いで、キャビアのドミドフ風にはシャンパンが添えられる。「正しくブブ・クリコ1860年物ですぞ!」そしてメイン・ディッシュへと慈悲に満ちた幸せな時間が流れ、「これは本物のウズラのハイです。パリで昔、『カフェ・アングレ』に招待された時料理長は女だった!」かくして一文無しになったバベットは云う「いいえ、貧しい芸術家なんていませんわ」