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スティンガー

VOL.2

 M・C・スミスの英推理作家協会賞「ゴーリキ・パーク」は、ソヴィエト・ロシアを猫破したサスペンス溢れるミステリー冒険小説。これを映画化したのが、マイケル・アプテットの同名作品(未公開)。

 顔の剥がれた死体が3つ、ゴーリキ・パークの雪中から発見。KGBに通じた米の毛皮商人が体制反逆者を、亡命を餌に使って反抗を企む。主人公の人民警察の捜査官は、商人を追ってストックホルムのシェラトンのバーにやってきたが、命はKGBに押さえられていた。

 二人のKGBの会話。
「スティンガー!」と一人が注文。
「何だ?」
「コニャックとクレム・ド・ミントだ。」
「両方が死ぬ」
「過激が通る国さ。」
   −−−暫くあって−−−
「彼が取引すると。一人で来いと!」
「なぜ取引を?何と交換した?」
捜査官が詰めると、
「どっちがコニャックでどっちがミントか答えられるか?」
「・・・・・・」

 亡命のためには売女もする愛する女もからみ、遂に米商人と取引を終え、再びシェラトンのバーにやって来た主人公がスティンガーを注文すると、唯一の味方、米の剛腕刑事が云う。「そいつは売女の酒だ。」

「俺は売女だよ。」“お前に俺を救うことはできない。袋のねずみだ。” 捜査官は自嘲する他なかった。

 ちなみに、「スティンガー」とはチクッと刺す奴という意。