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我思う、故に我在り
VOL.31
 「ET」のビデオ化でスピルバーグは96億円儲け、ETとキスした少女役のドリュー・バルモアは「9才で酒、10才で大麻、12才でコカイン、リハビリセンターへ。2ヶ月後脱出。ナイトクラブのトレイで、又始めた。」と告白する。
 今、遠く一点から響き来る音の静寂。アルボ・ペルトのミリマル風反復とポリフォニーが中性的な宗教的呪縛を孕んで躰を包む。作品「アルボス」に“タルコフスキーに棒ぐ”とある。謙譲を人間の一番深い力とみるベルトは受難を単調さの音に託し、自我の脱却、無化を試みる。
 「野口体操」は人間の躰を石と同じヘモグロビンや水の地球物質の一つのまとまりと捉え、心はその働きかたの一つとする。空っぽの躰の中心に心を働くと手にした鞭の先端は何10倍のエネルギーとなり瞬間を切る。例えば、やさしさの感情を躰に入れると躰全体が“やさしさ”になる。ペルトも野口も禅の真理に符合する。覚醒させるが陶酔はさせない。内に向う心に拡がる宇宙観は幽玄。十字軍に始まるキリスト教の虐殺と掠奪の歴史は千年で世界を文明支配し、今、<外なる宇宙>をも制しようとするが・・・

(二休和尚の最後の誘惑)

(1989.2.1記)