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笑う門には福来たる
VOL.20
 神秘の人コクトーの「各種の芸術はすべて軽金属で装はれている。いつでも空を飛べるためには彼は身軽である必要があった。」と、三島由紀夫がかつて言った。
 “恐るべき子供たち”にはピストルと毒薬が要った。世の仕組みに枷をしくなら、詩人はいつでも天空に舞い雨を降らせる。C・ゲバラは爆弾とロマンの間を駆ける。音楽家は闇と音のスタンスを計測する。
 政治が最後に語られた季節の70年、「ラジオのように」で衝撃の一打したブリジット・フォンテーヌが来日する。何ということだ、17年も毒を凍らせたまま。飛行機に平気で乗る程無神経でない彼女の純粋培養は、フランス音楽界からも舞い上り天で凍る。ねじれた音楽をねじれて聞くとフツウになる。すると社会の方がねじれる。
 “Go FoR IT ! だもんねの男たちを笑え、うっそーの女たちをあざ笑え”ね、歪んでるでしょう? これは超有名な学習塾の大人が作った“恐るべき子供たち”への恐るべき指導綱領。今昔かくの如し。

[細るべき大人たち]

(1988.3.1記)